動物取扱業の適正化に関する意見募集

環境省意見募集ページはこちらをクリック

動物愛護法改正:動物取扱業の適正化(案)に対する当協会の意見

※実際に環境省へ提出した意見とは表現が異なりますが、本質的な内容は同じです。

(1)深夜の生体展示規制

@ 20時以降の生体展示禁止に賛成。展示時間は
 10:00〜20:00の間に定める
A 展示時間は1日8時間とし、1日2時間の休憩を設ける
B 規制対象の動物分類は、犬猫に絞らない。

(理由)
 5チェーン店126店舗の営業時間を調べたところ10:00〜20:00の時間内で9〜10時間の営業をしている店舗が95件(75.3%)、1店舗だけ10:00〜翌朝5時まで(17時間営業)という突出した店舗があったが、その他の店舗でも11〜12時間の営業だった。 つまり現状でも大半のペットショップの営業時間は10:00〜20:00に設定されていることが推測される。
 動物園等の開園時間は、基本的に9:00〜17:00(8時間)に設定している事業所が多いこと、また人の労働基準法でも8時間労働が基準であること、加えて、ペットショップで販売されている犬猫は、幼齢であり展示による不適切な生活サイクルの強要が重大なストレスとなることを考慮し、展示時間を10:00〜20:00の間の8時間にすべきと考える。
 また、現在のペットショップでは、様々な動物を販売している為、規制対象を犬猫のみにした場合、取り締まりが煩雑になることが予想される。規制対象は犬猫のみに絞るべきではないと考える。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


(2)移動販売

@ 動物取扱業の登録を受けた事業所以外の
 場所での販売を認めるべきではない。

(理由)
 移動販売は短期間(10日前後)に登録事業所以外で販売を行うことから、行政機関の管理監督が困難である。また、トレーサビリティや販売後のアフターケア、感染症拡散の問題を考えると、移動販売において、それらの規制を整え履行を担保する事は非常に難しく、管理監督する行政機関の負担増は免れない。また、登録事業所以外での販売を認める事自体、登録事業所の意味を逸脱している。命ある動物を販売する以上、販売を行う事業所の年間営業日数の規制を行い、購入した消費者へのアフターケアを行うことができる規制にすべきである。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


(3)対面販売・対面説明・現物確認の義務化

@ 対面販売・対面説明・現物確認の義務化に賛成。
A インターネットの利用は、動物取扱業登録を
  行っている事業所を併せた掲載を義務化すべき。

(理由)
 インターネット販売は、動物取扱業に含めて規制をするという方向で動物取扱業に認められたが、問題点が非常に多く出ている。生き物を取り扱う以上、対面での説明販売、現物の確認は必須事項である。インターネットオークションも含めて、インターネットを利用する際は、動物取扱登録事業所の併記を義務化し、事業所併記のない出品を違法とすべきである。監視方法の確立がないままインターネットを利用した販売を容認することは国民の不利益につながる。監視方法の確立と監視体制構築により実効性のある制度運用が担保されない限り、インターネットの利用は休止すべきである。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


(4) 犬猫オークション市場(せり市)

@ 犬猫オークション市場の基準・監視体制の内容により賛成。
A オークション市場でのトレーサビリティ確保が必要。
  マイクロチップの義務化。

(理由)
 小委員会では具体的な基準や監視体制が言及されず、本案にも具体案が示されていない。以下のような基準・監視体制が盛り込まれるならば賛成する。
 犬猫流通の4割を担うオークション市場の責任は非常に重要であり、動物取扱業登録の確認や市場の情報公開の問題、また遺伝的疾患の経路を探るトレーサビリティの確保も重要とされているが、犬猫流通の根本的な問題は需要と供給の管理がなされていない点だと考える。
 取引するものが命ある動物であることに重きをおき、食品の流通を規制する卸売市場法や米殻安定供給確保支援機構のように需要と供給を管理する責務を明確にすべきである。
 また、オークション市場は、広範囲の地域から犬猫等が持ち寄られ売買され、一同に集められた動物が各地へと分散する。オークション市場に出品する犬猫については、マイクロチップ挿入を義務付け、出品年月日、出品者、購入者、健康状態等のデータ管理ができるようにすることで、トレーサビリティの確保を行い、動物取扱業全体の意識向上に貢献する事が必要である。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


(5) 犬猫幼齢動物を親等から引き離す日齢

@ 最低ラインとして56日齢(8週齢)を支持。
A 罰則をつける
B 自主規制期間を延ばすことには反対。

(理由)
 小委員会では生後56日(8週齢)に規制する科学的根拠が求められたが、ペット事業者団体の45日齢について科学的根拠が示された訳ではない。ペット事業団体の意見では「45日齢でなければ業が成り立たない」「8週齢まで繁殖業者に置くと感染症になる」「8週齢で規制しても虚偽を行えば分からない」というものが目立った。
 欧米では8週齢規制で業が成り立っており、繁殖業者に置く期間を延ばすことで感染症の危険が増すのであれば、日本の事業者の管理面が問題と言える。
 ペット事業団体は、若齢の見た目が可愛らしいことで売る販売方法に始終しており、そのために「売れ残り」を多数抱えているのではないかと思う。3チェーン店100店舗がHPに載せている犬の生後日齢を調べたところ3758匹中、「賞味期限切れ(売れ残り)」と称される生後70日齢以上の犬が1765匹にのぼった。
 この数値は、店頭での展示販売自体が破綻しており、この規制を機会に、販売方法の転換を考えるべきである。
 また、規制が定められても虚偽を行う危惧がある以上、自主規制期間の延長は無意味であり、罰則がなければ遵守されない事項と考える。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


(6) 犬猫の繁殖制限措置

@ 繁殖は8歳齢まで、年1回以下の出産とし、
  生涯の出産回数6回以下を支持
A 事業者による自主規制に任せることは反対

(理由)
 動物愛護先進国として広く知られているイギリスで用いられる法規制の導入が国民に受け入れられ易いと考える。イギリスのケンネルクラブでは、生涯の出産回数を4回とする法規制より厳しい自主規制を行っているが、日本のケンネルクラブは小委員会において、発情の度に出産させて構わないという意見を出していた。
 日本では事業者の自主規制による改善は難しく、法律による一定の規制が必須と考える。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


(7) 飼養施設の適正化

@ 早期の飼養施設の数値基準策定を要望。

(理由)
 平成18年作成の「ペット動物販売業者用説明マニュアル(哺乳類・鳥類・爬虫類)」にはケージのサイズなどが書かれている動物種もあり流用は可能と考える。
 先進国の中で、動物の飼養施設について規制がないことは恥ずべきことと認識するとともに、行政が指導管理を行いやすくするためにも、法律による早期の規制が必須である。
 詳細な規制導入に時間を要する場合は、客観的指標としてのアンモニア数値、騒音、湿度などを取り入れ、劣悪環境と示唆されながらも営業を続けている事業者に対し、適切な指導・注意・勧告が進められるようにすることが急務である。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


(8) 動物取扱業の業種追加の検討

 1)動物の死体火葬・埋葬業者

@ 何らかの法に盛り込み、指導監督する行政部署を定めることが必要。
  現状で愛護法に含めた場合、実効性が低下するならば先送りを容認。

(理由)
 動物の死体火葬・埋葬業の問題が浮上した理由は、多数の犬の死体を山中に遺棄した事件が発端となっている。このような事例は稀有なことと考えると共に、遺体の取扱いについては、他の法律で規制が可能である。
 しかしながら、業者ヒアリングの中で、虐待やネグレクトによる死亡例が報告されていることや、生命尊重の情操の涵養を考えると、動物愛護法の動物取扱業とすることは納得ができる。
 現状では、生きている動物の取扱について問題山積状態であることから、現時点で動物取扱業に含めることで、実効性を欠くのであれば先送りを容認する。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


 2)両生類・魚類販売業者

@ 両生類・魚類販売業者も動物取扱業に含めることを支持。
  不可能であれば、少なくとも販売時の説明責任を課する対策を講じるべき。
A 生物多様性保全の概念を含めることは、時期尚早ではない。

(理由)
 両生類・魚類の販売業者が動物取扱業に登録されていない現在、販売時の説明責任が課されていない。愛護動物に含まれていなくとも、販売時の説明責任や飼育環境は留意すべきである。両生類・魚類販売業者は、数的に少なく、行政に過大な負担にはならないと聞くので、動物取扱業に含めることが妥当と考える。
 また、環境省は、外来生物法の所轄でもあり、特に水域系外来生物の脅威を最も熟知している省である。動物愛護法に生物多様性保全の概念を取り入れることは、国民に周知する意味も含め必須であり、時期尚早ではなく今回の改正を逃すべきではない。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


 3)老犬・老猫ホーム

@ 動物取扱業に含めることを支持
A 所有権移転を行っている業者についても
  生涯の預託契約であることから動物取扱業に含めるべき

(理由)
 依頼者は、生涯飼育の対価として一括の支払いを行うので、所有権移転後も生涯の預託契約とし、動物取扱業に含める事が順当と考える。飼養者から所有権を放棄させたことで、預託ではなくなるために、新たなカテゴリーが必要という議論だが、契約は当該動物の死亡まで有効であることから動物取扱業としての登録を行う方が指導管理上繁雑にならず、一般的な理解も得やすいと考える。しかし、法的に所有権移転により、その後の管理が業としては見なされないなのであれば、新たなカテゴリーとして「動物取扱施設」を設け指導監督に漏れのない形を要望する。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


 4)動物の愛護を目的とする団体

@ 動物の保護管理を行っている団体については、
  動物取扱施設としての登録を支持。
A 動物の保護を行っていない団体は活動内容の届出を支持。

(理由)
 一般的な動物取扱業と異なる対応として、動物取扱施設のカテゴリーを新設し、行政の指導監督ができるようにすべきである。
 その際、動物を取り扱っている団体は、動物取扱施設として届出を行い、保護活動を行っている愛護団体を把握すると共に、愛護を目的としたものが多頭数を保護し適正管理を逸することのないよう指導監督できるシステムを要望する。
 動物の保護活動を行っていない団体については、届出を行い、行政機関が活動内容を把握できる形が望ましい。
 また、災害時における行政との連携を構築するためにも必要と考える。
 尚、所在地等については、営利目的ではないこと、個人的な活動も含まれることから、原則非公開とし行政機関による把握を第一義的な目的にすべきと考える。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


 5)教育・公益目的の団体

@ 小中学校の動物飼育については、
  動物取扱施設のカテゴリーに含め登録を支持
A 専門学校については、動物取扱業に含める

(理由)
 小中学校の飼育動物に関する問題は以前から取りざたされているが、解決策が提示されていない。今回の改正において動物取扱施設という新しいカテゴリーで登録し、子供たちに動物の適正飼養、動物愛護精神、生命尊重の教育がなされている事を担保して頂きたい。
 トリミング学校などの専門学校については、現在管理監督する行政機関が無い状態だが、動物を用いて学ばせることで、学費を得ていることから、間接的ではあるが動物により収入を得ている形は、展示あるいは保管業務に類似と見なすことができる。このことから、動物取扱業に含めることを要望する。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


(9)関連法令違反時の扱い(登録拒否等の再検討)

@ 関連法令違反時の動物取扱業登録取消・拒否に賛成

(理由)
 動物取扱業者が、動物関連法令に違反しながら、営業に支障なく業を続けている事は一般常識からは考えられない。法令違反を行っても営業が続けられることは、事業者にとって職を失う危機感が無く、法令違反に対する認識が希薄となる。
動物関連法令は、動物を取り扱う業者が守って然るべきものであることから、選定の必要はなく、軽微な違反に対しては、営業停止期間を定めるなどの措置を講じて頂きたい。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


(10)登録取消の運用の強化

@ 登録取消の運用強化を早期に具体化すべき

(理由)
 違反業者の登録取り消しについて、迅速な発動が出来る記述への変更を早期に行って頂きたい。一方、現行法で運用が困難である理由に、虐待の基準が定まっていないことがあげられる。現状のままでは獣医師等専門家に助言を求めても、迅速な発動が難しいと思えることから、今回の改正で、虐待の基準を定める事が必須である。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


(11)業種の適用除外(動物園・水族館)

@ 動物園・水族館の動物取扱業適用除外に反対
A 無料動物園・水族館についても登録が必要

(理由)
 現在、動物園・水族館には、何をもって「動物園」「水族館」と称するかの規定すらない。また、動物園水族館協会に加盟している園でも、その飼養管理状態には、隔たりがあり、協会が的確な指導管理を行っている状況にはない。
 別法等により、動物園水族館についての規制がなされない限り、動物愛護法の動物取扱業として規制を行わなくては、指導管理の管轄がなくなるため適応除外は考えられない。
 現在、無料での動物園・水族館については適応除外されているが、これについても動物飼育施設等、新たなカテゴリーとして登録を義務付けるべきである。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


(12)動物取扱責任者研修の緩和(回数や動物園水族館・動物病院の扱い検討)

@ 動物取扱責任者研修の緩和はすべきではない

(理由)
 現在行われている動物取扱責任者研修内容を改善し、業種別に適正かつ最新情報を研修にて教授することが必要である。
 今回出されている要望は、現状の動物取扱責任者研修では意味がないという内容であることから、意味ある内容への変更を行う事が必要で、研修自体の免除を行うべきではない。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


(13)販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物等での説明義務項の緩和の検討)

@ 販売時説明義務の緩和はすべきではない

(理由)
 安価な動物が粗雑に扱われていたり、適切な飼育方法の説明がないことで飼いきれなくなり野外に放つケースが後を絶たない。外来生物などが多数輸入される中、販売者がその生態を理解していないケースも聞く。取り扱う動物種について的確な知識を持ち、説明する責任は強化すべきものである。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ


(14)許可制の検討(登録制から許可制に強化する必要性の検討)

@ 許可制にすることを支持

(理由)
 現在の登録制には、取消や拒否が含まれることから許可制と同等とされているが、現状では迅速な運用はなされておらず、これからの対応である。また、年間2匹以上の販売を行った場合、動物取扱業登録が必要になっているが、その実態は不明瞭極まりない。
 動物取扱業は、専門知識のない一般市民が動物を繁殖販売し収入としたことで業者として扱われることは奇異であり、簡単な副収入として繁殖販売する事は行うべきではない。
許可制として、誰でもが簡単に出来るものではなく、ある一定の知識技能を身につけたもののみが得られる「免許」としての厳正さが必要である。

■ この項目に該当する環境省作成案はこちら

ページTopへ
HOMEへ