青葉区で遺棄された成犬4頭を保護

2010.10.1

 2010年8月12日午後2時43分、青葉区警察署から本会に連絡が入りました。「所有者不明の犬4頭を預かってほしい。」話によると、同日午前7時45分ごろに地元住民から犬が捨てられているとの通報があり、駆け付けたところ犬4頭が水車小屋の中に遺棄されていたらしい。現在、犬たちは警察署で保護しており、迷い込んだ可能性もあるが、動物愛護法違反の疑いもあるため捜査を行う予定。ただ、警察署で長期間保管することが出来ないため、証拠物として捜査期間の1ヵ月間、そちらで保護してもらえないか、ということでした。

 本会も在舍状況からして突発的な保護の申し出には応えられないのですが、急を要することであるのと、通報者らが捜査期間終了後は飼ってくれるということだったため、本会での一時保護(保管)を受け入れる旨お伝えしました。また、通報者の方の労苦を軽減させるために、本会保護期間中に里親募集を行うことを、譲渡は捜査終了後という条件の上で、許可してもらいました。

遺棄されていたのは、ダックスフント(推定5〜8才・オス)、マルチーズMIX(推定5〜6才・メス)、ロットワイラーMIX(推定 2才・オス)、パピヨン(推定10歳以上・メス)でした。

 この事件は一部の新聞やテレビでも取り上げられたため、4頭中2頭(ダックス・マルチーズMIX)は里親希望の方が現れ無事に決まりました。また、捜査終了後に発見者の方から連絡があり、パピヨンを引き取って下さいました。しかし、残ったロットワイラーMIX(仮称:ボボ)の犬は攻撃性があるということから、発見者の方は引き取りを断念され、現在も本会に保護されています。ボボは引き続き里親さんを募集しておりますので、ご希望の方は本会までお問い合わせ下さい。

 今回の捜査では、結局もとの飼育者を発見するには至りませんでした。遺棄行為を現行犯で逮捕することは非常に困難であり、動物が捨てられた後に気付くことがほとんどです。また、今回のケースだと警察側も捜査を行ってくれることになりましたが、地域や担当者によっては全く動かないところもあります。それは遺棄されたのか、逃げ出したのかがはっきり分からないということも理由の一つとして挙げられます。また今回のケースのように捜査を行ったからといって、元の所有者が特定されることはほとんどありません。いくら動物愛護管理法で遺棄が犯罪行為とされていても、事後ではどうしようもならない現実があります。

 環境省では今年度から、動物愛護管理法の見直し作業に入っていますが、「遺棄防止」としての項目は検討課題に挙げられていません。また、保健所(動物愛護・保護センター等)では引取りを容易に行わず、継続飼養・里親探しの説得や、引取り手数料の設定等を行う自治体も増えてきており、(良い意味で)飼育放棄者に対して年々厳しくなってきてはいますが、一方でそれが遺棄を助長させることに繋がることも危ぶまれます。遺棄防止のための罰則の強化や監視体制の構築も確かに大切ですが、やはり飼い主として、人として、一度"いのち"を譲り受けた以上、責任とモラルを持って頂きたいと切に願います。【後藤章浩】

■2010年8月13日に朝日新聞に掲載された記事 新聞記事

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■関連リンク

環境省「虐待や遺棄の禁止」のページ
(環境省ウェブサイトへのリンク)